2007年、メロンや映画祭で有名な夕張市が破綻し、財政再建団体として国の管理下におかれてから、はや12年。
「最高の住民負担に最低の住民サービス」がキャッチフレーズとなっている同市からは人が消え、ゴーストタウンと化しているエリアもあるそうです。
そもそもなぜ夕張市は破綻することになったのでしょうか。
かつて夕張市は炭鉱の街として栄えていましたが、石油へのエネルギー政策転換により、炭鉱が閉山しました。
その後、観光・レクリエーションへシフトしようとしましたがことごとく失敗。結局、観光・レクリエーション投資における放漫経営が累積赤字として重くのしかかった結果、市の財政を圧迫しました。傷口を広げるように市はスキー場を26億円で買収しようとしますが、道庁が不許可。
すると、市は土地開発公社にスキー場を買収させ、市が代わり返済するというヤミ起債を行い、後はズルズルと破綻の道へと突き進んでいったわけです。
他人事ではない夕張市の惨状
夕張市のように経常収支比率(一般財源に占める人件費や交際費など固定比の割合)が極端に高く、かつ財政力が低い自治体は日本全国に溢れています。
今後、過疎化により離島や中山間地から人がいなくなれば、より過敏に反応するようになり、少しの出来事で財政再建団体に転落することでしょう。
それでも夕張に留まる人々
破綻時に1万3千名を越えていた人口は、現在8,087名となっています。財政再建団体への転落に伴い、過重な負担が市民の背中にのしかかっています。
◯市民税の増税
◯ゴミ回収の有料化
◯下水道料金のアップ
◯学校の統廃合
◯公園や美術館が廃止
◯市職員給与の大幅な減額
現在の夕張市の平均年齢は60歳弱であり、今後もこれは上がり続ける一方です(ちなみに沖縄県の平均年齢は40歳強)
地方の過疎地に行けば珍しくもありませんが、夕張市の場合は今後税収が上がる見込みもなく、未来に希望が持てない地域となっています。
一方、まだ8千名強の住民が生活している実態があります。彼らは何故この未来のない土地(少なくとも明るい展望が持てない)に留まるのでしょうか。
その多くは高齢者や地元に根差した自営業者など、他に行くところがない人々です。彼らは夕張市に土地家屋を持っていても売却できず、新しい土地で仕事を探すこともできません。この場所を離れると生活する手段がありません。だからそこにしがみつくしか無いのです(中には地元に愛着がありあえて留まる方もいるでしょうが)
いつの日か夕張市が消滅するかどうかはわかりません。ただマイナスのスポットライトが当たっていないだけで、ある調査によると2040年までに全国で約900の自治体が消滅すると報告されています。
今日の夕張市は明日の我が身かもしれません。
自分の生活と家族を守る資産運用
土地と一緒に心中してしまわないためには、個人はどこに行っても生きていけるスキルや資産を築くしかありません。
もちろん生まれ育った街で生きていくことが出来ればそれに越したことはありません。要はいざという時に自分の生活と家族を守るために取りうる選択肢の幅を広げることが重要なのです。いくらタイタニックが好きでも、客室で寝ているだけでは船もろとも沈んでしまうでしょう。
スキルを身につけるのは一朝一夕では難しいでしょうが、資産形成は誰にでもすぐ始めることができます。そうすればいざというとき国内だろうが海外だろうが、それこそ夕張だろうが、軽やかに移り暮らすことができるでしょう。
一言断っておきますが、夕張市に現在も住んでいる方々については同情します。政治家の不作為が招いた側面も大きいのですから。私は夕張を一つのシンボルとして、他人事ではないと思っているのです。私と家族の生活を守るためには、そのような状況に陥った時にどうすべきか、予め考えておかなければなりません。その時に狼狽しても遅いと思うからです。
その意味においては資産形成というのは自由に近づくことのできる目に見える行為です。このことにどれだけ早いうちに気づくことができるかで人生は大きく変わってくるかもしれません。
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