中国ではキャッシュレス経済がかなり進んでいて、高級デパートから屋台までモバイル決済が可能になっています。
一方、日本での取り組みは遅れていて、キャッシュレスと言ってもまだまだクレジットカードレベルの域をでていません。
最近では100億円還元で話題となった「PayPay」や、様々なキャンペーンを打ち出している「LINE Pay」、自社の経済圏を築きつつある楽天の「楽天ペイ」など、モバイル決済戦国時代に突入しています。
私はというと、PayPayのキャンペーンを機に参加しかけましたが、よく考えたら特に買いたいモノもなく、完全スルーしました。
御多分に漏れず、現金とクレジットカード(VISAとJCB)、外国では両替のためにデビットカード(SBI)を使っているくらいです。
しかし、沖縄では居酒屋でもキャッシュカードが使えなかったりするし、先日、大戸屋でクレジットカードで支払おうと思ったら対応していないと言われビックリ。
現金の持ち合わせもなく、店員に理由を説明して、お金を下ろしにいくということもありました。
だって、誰もが知っている大戸屋ですよ。
受け入れ側のインフラが整わないとキャッシュレスの普及は難しいでしょうね。
カード会社の株は魅力的
世界最大のカード会社の「VISA」は200か国以上で事業を展開しています。
そのビジネスモデルとしては、金融機関に発行ライセンスを供与し、金融機関がVISAカードの発行やVISAカード取扱加盟店との契約を行っています。
つまり、カードの発行や金利設定をせずに、カードの決済処理手数料を金融機関から得るビジネスモデルなのです。
さらにシンプルに言うと、決済システムのインフラを提供し、その手数料で利益を得ているわけです。
そのため、そのインフラを利用している金融機関が貸し倒れなどのリスクを背負うことになり、安全なところからビジネスをしている「殿様商売」なのです。
業界2位の「MasterCard」もほとんど同じようなビジネスモデルを展開しています。
この業界でトップシェアを有しているということは、「ネットワーク効果」が発現します。
ネットワーク効果とは、その企業のサービスの利用者が増えるほど、そして規模が拡大るすほど、そのサービスの利便性や価値が高まる効果のことを指します。
VISAやMasterCardについても、加盟店が増えるほど利用者の利便性が高まりますので、クレジットカードを作ろうとする新規加入者に選ばれやすくなり、更にそれが加盟店を増やすことで正の循環を生み出すというわけなんですね。
フィンテックをどう取り込んでいくのかが今後のカギ
VISAは自らを「テクノロジーの会社」と称しており、なるほど、この決済インフラを提供するビジネスモデルを見れば、フィンテック企業と呼べるかもしれません。
更に、現在アップルが展開している「Apple Pay」はVISAの決済インフラを利用しています。
アップルはVISAの持つ世界中に展開しているスケールメリットや、その中で獲得した地域ごとの決済方法や嗜好について活用することができます。展開のスピードアップ化も図れるし。
VISAにとっても、新たな顧客を獲得するための展開ツールとして、はたまた、顧客としてのアップルからの手数料など大きなメリットがあるでしょう。
それでもなお、近年のフィンテックの動きはすさまじいものがあります。
海外送金やQR決済などのフィンテック企業の台頭で、冒頭の中国のようにカード会社を経由しないやりとりが広がり、クレジットカードの必要性が薄れていくのではないかと思っています。
VISAやMasterCardなどの既存のクレジットカード会社は、モバイルの中に自社のクレジットカード機能を収納するなどの手を早めに打てば、ネットワーク効果を有効な武器として活用でき、今後とも安泰だと思うのですが、さてどうでしょうか。
最後に、じゃあ私がこれらのカード会社に投資をするのかについてですが、ビジネスモデル自体はとても魅力的ですが、いかんせん配当利回りが低すぎる。
VISAが0.78%、MasterCardが0.73%ですので、インカムゲイン投資家としてはちょっとなあ、というところです。
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