暴落後の戦略 ―その時がきたらこうするというシミュレーション―

投資全般
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私が米国株投資を始めたのが2009年頃。そうです。市場では前年にリーマンショックという未曾有の衝撃が起こった直後のことです。投資を行うタイミングとしては千載一遇のチャンスでしたが、ただ悲しいかな、それはたまたまだったため、暴落直後を拾いに行くというような意識は微塵もなく、ETFを怖々買い始めました。それから少しずつ買い増していったので、トータルではVTIが投資額の2倍程度に増えているくらいです。

 あのとき、「今やっ!」とフルインベストメントしていたら、今頃マレーシアのペナン島辺りのオープンバーでフローズンマルガータを飲んでいたかもしれません。

誰でも一度は考える「あの時ああしていれば」

暴落はいつ起こるか分かりません。その引き金はブレグジットか、中国の影の銀行や土地バブルの崩壊か、トランプ大統領のロシア疑惑か、欧州各国の同時リセッションや金融機関の破綻か。

 その時にどんな行動をとるか。私は少なくとも狼狽し手持ち株を売却したりすることはないでしょう。というかその文化がないし、一度市場から降りてしまうと損失が確定してしまうからです。インカムゲインを積み上げたい長期投資家としては、値下がりし配当利回りが急騰した株を拾っていきたいと思っています。

 なので、目安としては2008年のリーマンショック時に減配せず、配当・増配を続けてきた銘柄が対象となるでしょう。それプラス現在でも高利回りな銘柄であれば、暴落のクッションにもなりやすいし、株価が戻した時に含み益や投資額に対する利回りの上昇が見込まれます。

 そうなってくると購入する候補の一つとしてはBDCが考えられます。BDCとはBusiness Development Companyの略で、米国において中堅企業や新興企業等の事業開発を金融面及び経営面からサポートする投資会社のことです。

 BDCの配当利回りは利益の90%以上を分配することを条件として法人税が免除されているため、その結果高利回りとなっており、その性質はReitと類似しています。

 BDCの一つであるエイリス・キャピタル(ARCC)の配当利回りは現在10%超であり、また、国策で実施している面がありますので、ある程度信用がある企業制度となっています。

 そのため、暴落時に配当利回りが急騰したBDCのうち、エイリス・キャピタル(ARCC)やプロスペクト・キャピタル(PSEC)などを購入したいと思っていて、ずっとウォッチを続けています。

 また分散投資の観点からはBDCだけで固めるのではなく、配当王や配当貴族からも利回りが5%を超えた大型株を選びたいと思っています。

 暴落の原因にもよりますが、金融危機で金融銘柄が下がれば銀行株を仕込んでもいいでしょう。

特に、今年に入り中国が石炭輸入を停止したり、不動産価格が低下傾向にあって今後利下げが予想されている、現在逆風が吹いているオーストラリアの銀行株、ウエスト・パック・バンキング(WBK)も有望です。現在配当利回りが7%弱と、去年の最安値16.48ドルから現在19ドルを回復してきており、投資妙味は相対的に薄れてはきましたが、暴落時には仕込みを行う魅力が増すでしょう。

オーストラリアは先進国の中では人口増加が予測されている数少ない国の一つですので、長期投資だと報われる可能性が高いと考えています。また、最近では中国から距離を置き始めていて、まだまだ中国の景気に左右される面はありますが、中国一辺倒の現在の状況からすると長期的には安定してくるのではないでしょうか。

 

暴落を悲観的にとらえるか楽観的にとらえるのか

リーマンショックに代表されるように、暴落は市場が全く予測していない時にパニック的に、連鎖的に起こります。更に近年ではAIによる自動売買やシステムトレードにより、売りが売りを呼ぶという状況もあるため、今後予期していないことが起きると、我々が経験したことのない未曾有の暴落が起こる可能性があります。

 「暴落を待っている」という待望論もネット上では散見されますが、それはまだ持たない方々の声であり(たぶん)、ある程度資産を持っている人達からしたら大打撃です。特に、リタイア真近の人々からとったら深刻な問題です。現に私も暴落が来たらどう加速装置を仕込むかを夢想することはありますが、絶好調の今年の相場はやはり居心地がいいですから。

 どういう場合でも、どういうことが起こっても冷静に対処できるように、日頃からシミュレーションをしておくことに意義があります。楽しみながら計画を立ていきたいと思います。

 

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