みなさんはハイテク株と聞いて思い浮かべるのは何でしょうか。
GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)やMicrosoft、Intelといったところだと思いますが、忘れてはならないのが、20世紀のITの巨人と呼ばれた存在、
IBM(International Business Machines Corporation)です。
ピーター・リンチがその著書で「永遠の不発弾」と呼び、天才バフェットに「取得したのは誤りだった」と言わしめた、あのIBM です。
事業内容はコンピューター関連のサービスとコンサルティング、ソフトウェア・ハードウェアの開発・製造・販売・保守、メインフレームコンピュータからナノテクノロジーのサービスを提供しています。
2017年時点では米国特許件数9042件で、25年連続の1位となりました。現金自動預け払い機、ATM、ハードディスク、フロッピーディスク、バーコードもIBMによる発明です。近年では同社の人工知能のワトソンが無料になるということで話題になりました(完全無料ではなく、トライアルが無期限で無料になるようです)。
また、創業する前のMicrosoftが、当時まだ開発していなかったOSを他社から安く購入し、改良して納めた相手こそIBMです。MicrosoftはそのOSを「MS-DOS」という名前で他のパソコンともライセンス契約し、現在の帝国の基礎を作りましたが、IBMがなければMicrosoftも誕生していなかったかもしれません。
現在の株価はどうなってるんだ?
年初来高値の171.13ドルからずるずると下がり続け、第3四半期では総売上高が前年比2.1%減(187.6億ドル)と市場予想を下回ったことで、10月に入ってからは怒涛の下げを見せています。
10月29日現在の株価は119.51ドルで、年初来高値と比較すると-30%となっています。まさに落ちるナイフ。
PER19.37倍、配当利回りも5%を越えてきており、同業他社と比較して突出した高配当となっています(もちろん株価が下がっているからではありますが)
ヤツの目はまだ死んじゃいねえ!
先日、IBM はLinuxディストリビューターやクラウド向けソフトウェアとして知られるレッドハットを340億ドル(3.8兆円)で買収し、クラウド分野でAmazonとMicrosoftを追撃する体制を整えはじめました(クラウド分野は他にGoogleやAlibabaといった強豪ひしめくレッドオーシャンです)
果たして、この買収はうまくいくのでしょうか。
クラウド分野では仮想サーバーを提供するサービスが注目を浴びており、レッドハットはそのサービスを使いやすくするソフトを提供しています。このレッドハットの”強み”がIBMの”強み”と相乗効果を発揮できるかが、市場シェアの1.9%のIBMが、51%のシェアを握るAmazon、同じく13%のMicrosoftなどの”21世紀の巨人”から市場を奪えるかどうかの鍵を握ってきます。
例えばエクセルやワードを使い続けるのと同じように、一般的に新しいサービスに乗り換えるには、旧データファイルとの互換性などの乗り換えコストが発生するため、先に広めたヤツ、先行者がどうしても有利ですが、幸い、クラウド市場にはまだまだ拡大する余地が十分にあります(2017年のクラウド市場の規模は6.1兆円で、今後も4割前後の成長が続き、2019年には今の倍、12.8兆円に達する見込みです)
現在、既存事業で大口法人顧客を抱えているIBMは、まだクラウドを使用していないこれらの顧客を「クラウド分野の新規の顧客」としてアプローチしやすいという立ち位置にいますので、ここを積極的に攻めていくことになるでしょう。
AppleがiPodで息を吹き替えしたことがきっかけで今の帝国を築き上げたたように、世の中何が起こるか分かりません。
レッドホットのオープンスソース技術とクラウドサービスが、IBMの資金力、人材、技術、特許との相乗効果を発揮することで、ハイテクの盟主の座を再び取り戻し、永遠の不発弾が発射される日もそう遠くないかもしれません。
現在、センチメント(市場心理)が揺らいでいますので、投資される際には慎重にご判断を。
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