ババと言えば、”ジャイアント”を思い出す、昭和生まれのよしおです。
遅ればせながら阿里巴巴集団(BABA)、いわゆる”アリババグループ”が気になっています。
は、今さら?という声もあるのは重々承知。
私のこれまでの同社の認識は、
〇 天猫モール(Tーmall)と淘宝(タオバオ)で、ネット内ショッピングモールを展開している。
〇 アリペイというQR・バーコードでオンライン決済サービスを行っている。
という程度だったので、
中国版のアマゾンとか楽天みたいなものね、
くらいの認識でした。
あと、無配当なのでインカムゲイン投資家としては、そもそもアンテナに引っかからない代物だったわけです。
しかし、今回ネットサーフィンしている中であるアリババの中身を知る機会がありました。
それからアリババ・グループを強烈に意識するようになったのです。
これはもう中国社会のインフラだ!
中国は日本と比べものにならないくらいのキャッシュレス社会で、ファーストフードや屋台で普通に使えるほど普及しており、国は盒馬鮮生(フーマー)を含む600超の店舗で現金を拒まないよう指導したそう。
ちなみに盒馬鮮生はアリババが運営する小売りスーパーです。
そしてその中心にいるのが、アリババやテンセントが展開するスマホ決済です。
アリババはスマホ決済を軸に、通販や生鮮スーパー、金融、医療など、生活の全てをカバーするサービスを提供していて、それを使う個人の購買履歴や興味関心など、膨大な個人情報を吸収しています。
スマホ決済より進んだ認証手段として、ケンタッキー・フライド・チキンなどでは顔認証で払える無人レジも広がっているそうで、このレジもアリババが開発しているそう。
この”顔”などの生体データをもとりこみ、購買履歴、学歴や資産、通院や投薬歴など、膨大な顧客情報を駆使し、人工知能などの分野でも突っ走っています。
そして私が一番関心したのが評価システム「芝麻(ゴマ)信用」です。
芝麻信用では、その人の信用度合いをスコアで表します。
その内容は”学歴” ”勤務先” ”資産” ”返済” ”人脈” ”行動”(ショッピング・金融商品の利用状況や公共料金支払い状況)の指標の組み合わせて信用を計算しています。
信用スコアの範囲は350~950点で5つのランクに分けられます。
この信用スコアが高いユーザーには、様々なメリットがあります。
〇 デポジットが不要
〇 病院やお店で後払いが可能
〇 ローンの優遇金利適用(アリババグループの関連会社のアントフィナンシャルの金融商品)
〇 様々なサービスや施設で特典
一定スコア以上の人しか参加できない婚活パーティや就職試験などの機会が得られたりします。
また、出国時に専用レーンの使用が可能、ビザ取得手続きが簡単になるなどの特典があるとのこと。
就職やお見合いでも「スコアを参考にする」との声もあるようです。
また、先ほどの盒馬鮮生では、スマホで注文した生鮮商品が3キロメートル圏内なら30分以内に届くサービスを展開しており、そのため「フーマーの3キロ圏内のマンション販売価格は近隣より1割高い」との声もあるようです。
またアリババは中国公安と協力して、杭州市内4500台超のカメラ映像をAIで分析し、火事や事件などを察知し、200人以上の警察官に指示を飛ばすという、街を監視する役割も担っているようです。
気になるのが国との距離だが・・・
去年、アリババの創業者である馬雲(ジャック・マー)氏が共産党員という報道がありました。
芝麻信用の高スコアの特典であった「出国時に専用レーンの使用が可能」や「ビザ取得手続きが簡単になる」、共同で監視システムを運営していることなど、中国共産党と同社との距離感が分かります。
なので、もし今回の米中貿易戦争などのあおりを受けたり、また、イラン制裁決議に違反していたとしてCFOがカナダで拘束されたファーウェイのように、いつ何時、アメリカの世界戦略(アメリカンファースト戦略?)に巻き込まれるかわかりません。
ただ、この現在のアリババネットワークを見る限りでは完全に内需企業であり、世界進出がデフォルトだったファーウェイとは状況が異なります。
仮にアメリカに意地悪された場合でも、最悪、自国民を相手にサービスを継続すれば大きな痛手をこうむることはないでしょう。
まあ、中国国内の景気が傾けば、当然間接的には影響を受けるでしょうけど。
あと私が特になったのが個人の信用を管理する芝麻信用の存在。
これはもう”神の領域にかなり近いモノ”ではないでしょうか
中国人の運命はもう芝麻信用に握られているといっても大げさではないかも。
個人の信用を手中に収めたいという国策とも完全に一致していますので(中国共産党が主導しているかもしれませんが)、これから先もかなりの重要さを持って中国社会のインフラとして定着していくのではないでしょうか。
さてアリババですが、現在PER47倍と、数字だけれみれば全く割安さはありませんが、それでも現在の株価は152.15ドルと2018年の高値211.7ドルから30%近く下落しています。
アリババの企業業績にかかわらず、米中通商協議の状況によっては、中国経済毎引っ張られる可能性も大いにあります。
中国は地方の隠れ債務も膨らんでいるというニュースもありますので慎重に取り組む必要がありますが、どうしても魅力的に見えて仕方がありませんね。
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