去年の年末にクアルコムが発表した最新のモバイルチップ”Snapdragon855”は、第5世代移動通信システム(5G)に対応していて、現在発売が公表されている5Gスマホのほぼ全てにクアルコムの半導体が採用されるようです。
一方、中国のファーウエイにCPUを供給している中国の半導体メーカーのハイシリコンは、クアルコムのスナップドラゴンに対抗して、最新型のCPU、”キリン980”を発表しています。
次世代スマートフォン市場は5Gネットワーク技術と、それを支える高性能CPUチップに強く依存するため、米国内のクアルコムにインテル、ハイシリコンなど、現在、各国が競って導入準備を進めていて、2019年は5Gを巡る戦いがいよいよ本格的に始まることになります。
グーグルと接近し始めたクアルコム
先月25~25日にスペインのバルセロナで開かれた”MWC19バルセロナ”において、5G向けの半導体に関するクアルコムの記者会見にグーグルの副社長が同席しました。通常はクアルコムは端末メーカーとの関係が深いため、グーグルのようなソフト企業と一緒に記者会見を行うことはまれです。
関係者によると、「5Gスマホが互いを結び付けた」と述べており、クアルコムの半導体が採用されているOSの全てにグーグルのアンドロイドが使用されています。
この両者の接近にはアップルの存在があるようです。
クアルコムとアップルについては、スマホ関連の特許を巡って激しい訴訟合戦が繰り広げられたことは記憶に新しいですが、その結果、アップルはクアルコムの半導体を18年の新製品から採用していません。
一方、グーグルはスマホ用OSではアップルが最大のライバルであり、アップルを追う立場にあります。このように両者の思惑が一致した今回の記者会見となりました。
アップルの5Gへの対応はどうなるか
アップルは半導体の調達先をクアルコムからインテルに乗り換えましたが、インテルは2019年末まで5G向けの半導体は出荷できない見込みとなっているようです。そのため、アップルが2019年内に5G対応のiPoneを出す可能性はないとされています。
一方、クアルコム・グーグル連合では、5G対応の端末について、早ければ今年の5月から発売を開始するとのこと。
米中の貿易戦争や高価格帯端末戦略の影響により急ブレーキがかかったアップルは、ここに来て5Gでも出遅れることになります。このままクアルコム・グーグル連合や中国・韓国勢の侵攻を手をこまねいてみているようでは、更なる減速は免れないでしょう。
アップルはiPoneの核ともいえるアプリ開発では先行していて、iTunesなどの配信事業は好調です。熱烈なファンも獲得していますので、すぐに大崩れすることはないかもしれませんが、さて、5Gを巡る仁義なき戦いの勝者は一体誰になるのでしょうか。今後の行方から目が離せません。
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